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深い河/遠藤周作


本書『深い河』は、発売されてすぐ購入した
N.riverにしては珍しい一冊である。
(はやりすたりに関係なく、
ピンと来た時、ピンと来たものを読むため、
読書歴が時系列にならない)

だが喜び勇んで読んだはずが、まったくもって何も感じなかった。
どこがいいのかさえ、さっぱりわからなかった。
それまでの遠藤氏作品に、
あれほど痛切なものを感じていたはずなのに、
読後、N.riverの頭には
クエスチョンマークが乱れ飛ぶばかりだったのである。

舞台にインドが出てくる。
一神教であるキリスト教と、
多神教であるヒンズー教、
この対比がテーマのひとつだったのでは、
と今なら思い巡らせる。
そこから人にとって普遍的な神とはどういうものか。
突き詰めていったのが、この作品ではなかったろうか、
とも考えている。

なぜなら、あまりにスカンピンだった初読に、
いや、コリアン先生なのだからそんなはずはない、
と数年後、再読する意を固めたせいだった。

なら二度目は、最初に読んだ時の自分は誰だったのか、
と思うほど号泣している。
果たしていかなる者だろうとも、
その者が真摯と求めさえすれば、
神はいかなる名を持ってしても、等しくそこに在る。
あっていようが間違っていようが、その時、そう読んだ。
イツ、ドコ、ナニヲ、を問わない。
神と認識されるものは、ガンジスの流れのごとく広く深く、
何もかもを抱きかかえるものなのだ、と。

なぜ最初読んだ時、何も感じず、
二度目で、通じるものが生まれたのか。
まったくもって謎だ。
一つ言えることがあるとすれば、
広すぎるその景色を少しは俯瞰で見ることができるようになった
のかもしれない。
と、思っている。


★イメージにふくよかな
 という言葉が残っています
 派手でも地味でも過激でもなく
 とうとうと流れる物語は
 ふくよか
 そういう言葉を感じながら
 読みました
 体ではなく心を癒されたい時に
 おすすめかと思います