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プリンセス トヨトミ/万城目学


『ホルモー』って! 『ホルモー』って何、何っ!?
N.riverは慌てふためく。
パニックのあまりツタヤで、映画『鴨川ホルモー』を借りていた。
原作は万城目学氏だ。
続き、映画化されたのが本書である。

だいたい『ホルモー』からして、タイトルがズルイではないか。
そこへもってして『プリンセス トヨトミ』とはなんぞや。
読めばそれは壮大な、大阪に潜む謎であり、
ひも解かれてゆくパラレル歴史物、であった。
(要領よくまとめられるのは、この夏、読んだせいである。記憶はフレッシュが一番)

そこにある臨場感は、N.riverが電車ですぐのところに住んでいるせいと、
万城目氏自身の地元が、物語の舞台との二重奏だろう。
あとがきにもあるように、だからしてこれは故郷へのオマージュだと知れる。
そしてそこで過ごした家族への思いも、ぎっしり詰め込まれた作品だ。
人情が、風情が、大阪を肌で知る者であればこそ、
心地よく伝わって仕方ない。
ザッツ大阪、漂う雰囲気が秀逸なのである。

中を奔走する登場人物は、国の会計審査院からきた審査官と馴染みがない。
だが氏の経歴から察するに身近なものと、描写に違和感を覚えないから不思議だ。
おかげで親近感すら抱けるこれまた、万城目ワールド。

岡本太郎氏は言う。
でたらめをしようとすると、それが案外、難しい、と。

『鴨川ホルモー』もたいがい奇想天外だったが、
万城目ワールド炸裂の本書も、なんじゃそらの応酬である。
しかしながらそんなワケない、と突き上がる理屈を、
この物語は破綻することなく、軽く飛び越えてみせる。
世界はまさに現代ファンタジー。
字面に仕上げた万城目氏の、
郷愁、故郷への思いの熱さに感服するばかりのN.riverなのだった。


★関西人ならぜひともどうぞ
 豊臣氏滅亡
 大阪城の本来の姿
 歴史の好きな方にもおすすめです
 むしろ、関西以外の方が読んだとき
 どういう感想を持たれるのかの方が
 気になって仕方ないです