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道化師の蝶/円城塔


前回の『共喰い』と共に受賞作品となった
円城塔氏の『道化の蝶』は、その構成が『共喰い』と真逆で難解だ。
もう、いまさら思い出すことさえ困難を極める。
というわけで今回は読書直後、
まとめていた感想を、ここに添付しておこうと思う。

……え、な、何だ、みんなしてその目はっ。
なっ、何もラクしようなんて思ってないぞ。
思ってないんだ。
毎日、1500文字程度、あげることくらい、
おっ、おいらには朝飯前なんだいっ……。

うう……。
すみません。ごめんなさい、嘘つきました。
ぴーぴー。

(以下、本年5月初旬頃、ツイッターより 一部改稿)
『道化師の蝶』読めた。けど具体的に何かがわかった! というわけではない、
と断言。
ただ全体の印象、受けた閃きを感想としてメモする。

インセプションごとき多重構造ではないよ、というコメントを読んだのだけれど、
確かに、合わせて小説世界はマトリックス的映像で読む私の中に立ち上がる。

網と言うからその発想は……と、ニガ笑いなれど、
ネットの広がりと検索と、世界各地の数多言語で似たり、違ったり、
そこで情報を排出する人々が目に浮かんだ。
その偏りが束なり「友幸友幸」像を作ったり、「銀の網」と言う検察ツールだったり、
「蝶」と言う、ネットへ吐き出されようとしている特異な情報? 発想? だったり、
そこを彷徨ううちに、触れた蝶より産み付けられて、
羽化してまた飛び上がる新しい発想だったり、と連想する。

ネットに乗ってサーフィンたる「旅」に没頭すると、
本離れが進むってことをいっているのかな?
そんな風に想像しながら自分の中で片づけつつ読んだ。

互いに食い合う閉じた『共喰い』と真逆であるのは
レースを編むように、断片がやがて全体を成してゆくような広がる展開がミソか。
その、読むことで物語に沿っているはずななのに全体を今だ把握できない、
読むにつれて次第に物語の全体像が見えてくる、
そうして目の当たりにしたとき感じる、解放感、期待、未来、希望。
革新的だと言われるのは、そんな具合に広がる文体や構成によって、
こういうことだろう、と思い予防線を張って読めば読むほど
体が読み手を裏切ってゆくところにあるのやも。

そのただなかで難解と取り、イミフと落とすか、
すり抜け続ける実態を最後まで、理屈抜きに追いかけ続けられるか、
で楽しめる度が変わるのではないかと感じる。
恋愛と似てる。
高嶺の花ほど落としがいがある的な。
振り向くまですがれ、と思いつつ読了す。
 
ということで、超個人的意見だけを最後にまとめると、
賞に見合うとか文学界の頂点、将来有望、とか
負い過ぎて自分の中では判断つかないから分からないけど、
どちらもそれぞれの持ち味、工夫が個性的で興味深かった!

安く、易く、甘くないだけで、
どこかで著者のドヤ顔がちらつくだけで、
書いてる人の両足がしっかと地に着いているのが見えるだけで、世は満足じゃ。


★超理系の円城氏は
 小説の構成自体がプログラミングのようだ
 と思えます
 抒情的に読みたい方へは向きません
 段落、言葉をパーツに分け
 記号として数式を解くように読み進める力量が
 試されるのでは と思われます
 とはいえスゴ過ぎる科学は魔法と同じなので
 想像力豊かな方なら
 完全無欠のSFファンタジーとしても
 お楽しみいただけると思います