うわさのベーコン/猫田道子
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存在を知った時は絶版だった。 ゆえに市の図書館にたった一冊、書庫に眠っていたものをひっぱり出してもらい読んだのが、コレである。 その文章は、日本語をかじった外国人かと思うほどメチャクチャである。 文法が、という点でもしかり、物語の筋が、という点でもまた、だ。 だがそれら奇天烈さに惑わされなければ、一筋縄ではいかない機微に触れることもできる超絶技巧。 だからして必然的に考えさせられるのは、形式と内容についてである。 それは同じ内容を有名人が発信した時と、名もない一般の誰かが発信した時の影響力の差に通ずるだろう。 果たして我々は内容に触れてきたのか。 文体に酔っていただけなのか。 挑発的なまでに危機感を抱かせる一冊は、 書き手と読み手、双方に刺激を与える前衛作品として記憶にある。 |