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武器よさらば/アーネスト・ヘミングウェイ


世界名作全集が我が家にある。
読まずに何十年、日が蝕んでむしろ豪華本化した風体だ。
若かりし時、全50巻ほどのいくらかをよんだけれど、それはまたここにメモるとして、
『武器よさらば』は、このお盆休みに読んだ。
おかげでヘミングウェイ、マイブームは始まったのである。

ヘミングウェイはどうやら第一次大戦へ赴き、体験を抱えて後に小説家となったらしい。
その体験が当時アメリカにあった空気と同調するような、数多作品を生み出した様子だ。
つまり決して陽気ではない。
証拠にヘミングウェイ自身、自殺なのか他殺なのかはっきりしない最期を遂げている。

そもそもアメリカ文学になじみがない。
それほどアメリカ映画は見るのに、だ。
知識もなく読み始めて、途中、興味がわいてウィキ様等にお伺いしたところ、
いただいたお返事で目が輝いたのは、
氏がハードボイルドの父である、という点だった。



さて、『武器よさらば』、原題『A FAREWELL TO ARMS(であってるはず)』
むしろ『戦争から逃げちゃって……』、と訳したいN.riverだが、
戦争小説かと読み始めて、青春恋愛小説らしいことを知る。

読み進めていけば、ドラマチックなどという言葉に白々しさを感じ始める。
だがそこに戦争がからむことで、どうにもやるせなく、物悲しさはまといつく。
嫌気のさし方と、すがってしがみつく儚さが、切実だった。
果てのラストはくやしく、悲しく、あいまってむなしさにあふれる。
そのオトギバナシを許さない「ならでは」の厳しさこそ、ヘミングウェイの視点だとして、
その視点のシブさたるや、じわじわクルからタマラナイ。
そのシブ味こそ、現実(ここでは戦争か?)にヤラれても合理的に割り切る、
合理的に割り切るイコール、現実主義と、抒情的ではないからこその非情さがミソではないかと考えてみた。
なるほど、さすがハードボイルドの父。

また同時に戦争絡みの本作は、自己の体験を昇華させる部rく書かれたものであると考えるにふさわしく、
書かせた体験の大きさにも感服する。

そしてN.riverは、すっかりその非情にホレたため、
この後、カップリング収録だった『日はまた昇る』を読み、避けては通れぬ『老人と海』を読み、ハードボイルドと言えばをたどってレイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』を読むと言う、それこそ長いハードボイルドめぐりに繰り出すのであった。

それはまた、次回にて。



★ハードボイルド、大戦に興味のある方は、ぜひどうぞ
 紫煙揺らして銃を構え、恰好つけるのがハードボイルドでないことが感じ取れると、思います
 また短いですが戦場の描写も過剰に煽らず、
 それでいて情景へ肉迫できる、体験者ならではが味わえると感じました(翻訳者の手腕?)