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図書館戦争/有川浩


極道の世界もいいけれど、おせちに飽きたらカレーもね。
そんなノリでは決してなく、
しかも、文章の前半と後半がつながってないが、
世間があれほど騒ぐうえ、馴染みのその場所がタイトルに入ってもいるのだから、
一冊ぐらいはよんでみるか、と腰を上げ、
なんだ結局、仲間はずれにびくびくじゃんか、
なN、riverは
そのものずばり本書『図書館戦争』を、図書館で借りたのだった。

さて、これこそ今さら、あらすじをいうまでもないはず。
表現の自由を守るため、図書館が武装する。
そして主人公は、その隊員の一人だ。
恋愛に、訓練に、抗争に。
なぜかしら、読みながらN.riverの頭の中を過っていったのは、
よく知らないにもかかわらず、アニメ『パトレイバー』だった。

というか、本書はそんなアニメ的映像がぴったりくるノリなのだ。
登場人物、というよりもキャラクターと呼んだ方がしっくりくる人々。
それでいて、しっかり調べが行き届いているとしか思えない、
図書隊という軍隊図。
図書館が武装するという「たられば」設定を裏で支えるそのディティールに、
裏腹と爽やかな青春ストーリーに、
なるほどウケそう、と思わずにおれなくなる。
また文章も、思わせぶりなくさらりとしていて、
そんな世界を近所のことのように伝えよこし、
読み手をぐいぐい、引き込んでくれる。
いやん、面白いじゃん。
(なんで今さら、カワイ子ぶるよ)

けれど続編は読んでいないN.riverであった。
なぜなら、何も書いてあることが清廉潔白、品行方正、成績優秀、
というわけでもない本書だが、
暗黙の了解として流れる誰も疑わない「正義感」といおうか、
踏み外せない「生真面目さ」「優等生ぶり」を全体からひしひしと感じ取り、
面白いのだけれど、どうにもどっぷり感情移入ができなかったせいである。
感じ取ったわけはおそらく、
物語のキーワードとして「一生懸命」を拾い上げたせいなのだ、と思う。
その「一生懸命」がドラマチックでロマンチックな本作ではあるのだけれど、
どうにもひねくれ者のN.riverは、
「一生懸命」よりも、八方破れの「必死さ」
に、より好みの重点を置いてしまうらしい。

とはいえ、一気に読めたことは間違いなく、
本好きなら妄想広がるパラレルワールドを舞台にした、
一生懸命が健気な青春自衛隊? 小説は、
そのひたむきさが読み手の心を掴んで離さない一冊で間違いないのだ。
N、riverは、びしっと敬礼で、みな様へおすすめするのである。


★ページをするするめくれる読みやすさです
 図書隊組織の説明など
 ミリタリーマニアでなくとも
 すっと頭に入ってくるあたり
 知らない世界へなお入り込める魅力にあふれています
 まだの方は
 まあ騙されたと思ってどうぞ
 決してソンはさせません