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おまえうまそうだな/西宮達也


なんだか泣ける本の連続になってきた「飲む読む」である。
なら究極、泣けた一冊を、と挙げるならば、
これほど効率よくメガトン級に泣けるものは
ないだろう。
絵本『おまえうまそうだな』である。

すぐ読める絵本は、全て立ち読みですませるN.riverであるが、
正直、本書はかなりハードルが高い。
何しろ読み終わるまでの数分間、真顔がもたない。

赤ちゃん恐竜には、まだ名前がない。
だというのに親とはぐれてしまった。
ものすごく心細い。
そこへ凶暴なティラノザウルスが現れた。
「へへ、おまえ、うまそうだな」
舌なめずりなんぞしてみせる。
ところがひとりぼっちで、びくびくしていた赤ちゃん恐竜は
まだ何も知らないからこそ、
そうして現れたティラノザウルスに目を輝かせるのだ。
そして自分の名前を「うまそうだな」とさえ勘違いし、
現れたティラノザウルスになついてしまう。
その萌え度が、たまらん。
ついぞティラノザウルスの食欲も削がれる。
そうして二匹の生活は始まったのだった……。

生きていくってサバイバルだ。
その中で強いものが弱いものを思いやる。
弱い者は強いものにあこがれる。
親子のメタファも含んでいるのか。
至極単純だが、えらくベタだろうが、
その後の展開に、ティラノザウルスの男前っぷりに、
切なすぎて泣かされる。
逆に作者のぶっとさ、強さ、を思い知らされる。

しかもこの絵本、
シチュエーションを変え、シリーズで発売されていて、
イッキよみしようとして、N.riverはあえなく撃沈した。
何しろいい大人が絵本を読んで、
人目もはばからず泣いている。
しかも立ち読みで、というのはいろんな意味でダメだ。

しかし我に返って思い、恐れる。
いや、そこまで泣けないよ、
と大多数がN.riverの前に押し寄せたなら、
むしろN.riverはこの号泣具合を、何のトラウマだ、
と解明せねばならなくなるだろうことを。


★西宮氏の作品には同様にヒット中
 『おとうさんはウルトラマン』もあります
 これもシリーズ化されており
 どれも同じ破壊力をもってして
 泣かされます
 恐ろしくてウチになんぞ
 おいておけない
 N.riverにはそれほどクル絵本です