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ぼくをさがしに/シエル・シルヴァスタイン


「欲求は満たされるが欲望は満たされない」というハナシを、精神科医の斉藤環先生から教わった。
もちろん本で。

欲求は喉が渇いたやお腹すいたなど。飲めば満たされ食えば満足するたぐいで、自らが求めるためその尺度が内にあり、満たされる度合いもしっかり設定済となっているもののこと。
比べて欲望は、あの人の持つような車に乗りたいやもっとモテたいなど、他人との間から生まれてくるたぐいで、他者から与えられるその尺度は内になく、外部へゆだねたそれが満たされることもないなら尽きぬもの。

物語の主人公は、欠けた部分を(満たされない部分を)いろんな形で補いながら邁進する。
もしかするとそれは欲望を満たそうとしているだけなのかもしれない、と考えた。
削ぎ落として言えば、単に「あなた」にはなり得ない「わたし」へ抱く渇望なのかもしれない、と。

だとすれば自分探しとは自分を探すのではなく、私のような他者探しにほかならず、
叶わないだろうことは言え、
しかしながらゆえに訪れるものが人生最重要イベントである「出会い」なら。

大学入学祝いに、塾の先生からこの本をもらった時、
私は残念ながら真逆と、人は一生、孤独なものなのだと受け取ったことをここで訂正したいと思う。

本気でやるなら「自分探し」、大いにオッケー。
さあ、死ぬまで終わらぬ旅に出よう!

みなさんは、欲望のままに探しておられますか? 今でも。
思い及ぶことのできた一冊。

あれ? 読み返したらレビューじゃないや(笑)