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二代目はクリスチャン/つかこうへい


つかこうへいブームがあったように思い出す。
『蒲田行進曲』の時代だ。
けれどつられて読んだのは、
文庫本の表紙が、映画化された時の主演女優、志保美悦子さんだったから、
という本書だった。

清純可憐なシスターと、
どうにもやんちゃなヤクザたち。

一見、相容れない外見ながら、
しかし両者の根底にはその実、同じものが流れていた。
イエスを、
親分を、
裏切らず、身を投げ打ってまで義理を通す心意気だ。

ひょんなことから、ヤクザの二代目親分になることとなったシスター今日子。
暴力はいけません。
子分たちをたしなめ、温和に、平和に、シマをおさめるが、
しかしそうも言っておれぬ抗争は激化する。
堪忍しきれず、
ついにブチっと、切れたシスター今日子のタンカは美しい。
決まれば決まるほど、
罪深いと知りつつ、夜叉と駆り立てられてゆく彼女の姿が切ない。
よもやそんな話だとは思いにもよらず、
コメディーかとふんでいたのだから、
どんどんシリアスへ傾倒してゆく筆運びはそらもう、不意打ちで
高校生のN.riverは、おいおい、ずびずび、泣いて読んだものだった。

映画になり、
もちろんつかこうへいである、舞台でも上演されている本書は、
だからして設定が小ぢんまりしている。
だがその分、『情』の絡みが濃い。
その『うねるがごとく』をぜひとも、味わっていただきたい。
小粒でもピリリと辛い一冊なのである。


★正真正銘エンターテイメントです
 展開のうまさに
 あああ と悶えることうけあい
 老若男女 時代も問わず楽しめる
 感動できる作品だと思います