やさいいライオン/やなせたかし
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酒も飲めない幼稚園の頃、 「おはなしの時間」というのがあったのは、我が園だけか。 その中でも忘れられない一冊を。 著者は、今はもう知らない人などいないハズの、この方。 あーん、ぱんち! でお馴染み、アンパンマンの生みの親、 やなせたかし氏だ。 案外、重い絵柄と、うらはらの躍動感あふれる構図。 はっきりした色使いと、ディフォルメで強調されたメッセージ。 けっこう主張の強い絵本だと思う。 主人公は一頭のライオンである。 けれど優しい犬のお母さんに育てられている。 ライオンはおかげでだんだん大きくなって、 犬ではなく当然ながらライオンになってしまい、 おうちで飼えないディテーィルに。 だからライオンはサーカスへ売り飛ばされる。 そこで人気者になるのだけど、 お母さん犬は老いてついに、余命いくばくもなくなり……。 うう、泣けてきた。 やなせたかし氏は戦争体験者で、 命の大切さや、正義とは、などなど、 そこでのことが作品に反映されている。 きれいごとではない部分が子供相手ながら、 子供が相手だからこそか、しっかり折り込まれている。 (アンパンマンも最初、冴えないパン屋のオジサンだった) だからしてこれもなんだか、すっきり明るくない。 子供の頃は、それもいいかな? と思っていたが、 どぉ、うぅ、しぃ、てぇ~! と今なら、絞り出すように叫びたくなる結末だ。 これを大人が子供向けに書いたのだから、 ものすごく勇気と信念がいったのでは、 と思わずにおれない。 そもそも簡素かつ、コンパクトなのが絵本である。 だからこそ書かれている内容の質が如実に出るなら、 いいものを作ろうと思えばそのとき、 まさに前回、宮本氏が言っていた、子供のように小説を書く、 が必要なジャンルなのではないのだろうか、と思うのである。 子供のものと侮るなかれ。 ということで詳しい結末は、お近くの書店、立ち読みで! ★ここに書くことがない えーと なぜ覚えているのかといえば 幼稚園の劇でN.riverのクラスは これを演じたからでした ちなみにN.riverの役は あ ゴメン 電話が鳴ったわ~ |