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バカの壁/養老猛


脳はオープンエンドだ。
をご紹介したのは、茂木健一郎氏の『挑戦する脳』である。
オープンエンドとはすなわち、完成しない、終わりがない、
辿り着いたそこには必ず次へ続く扉がある、ということだと思われる。
本書『バカの壁』は、そのアンチテーゼに近い現象を
身近な例と共に語った一冊だ、とN.riverは今になって振り返る。

『バカの壁』を一言でいうなら、
思い込みしかり、自分で自分にかける制限しかり、
それ以上、考えることをやめてしまうこと、らしい。
一歩、先へ踏み込むことを断念させる障壁、というわけだ。
茂木氏的にいうなら『挑戦』しなくなった、
と表現できるだろう。
(マニュアル、というのもバカの壁対策ではなかろうか?)

もちろんこの壁により、過剰に入ってくる情報を制限することも可能で、
『バカ』という言葉に過剰反応してしまいがちだが、
一概に悪いものでもないのが、この壁の正体である。

さて、これを読んだときN.riverは希望を持ったのだった。
あほだから、と壁を立てて背を向けるもひとつ。
だが自ら壁を立てず、諦めさえしなければ、
そのうち分かる日が来るやも、とか。
『飲む読む』もごらんのとおり、
捻挫寸前まで背伸びするのは、そのせいだ。
そして間に間に馬脚を現す。
ぶひひーん。

固定概念、思い込み、そこからくる見限り、というのは、
恐ろしく深いところで鍵をかけていて
凄まじく高い壁をおったてて、
諦めと、しったかぶりの風景で、視界を塞ぐ。
だが脳はオープンエンドであり、誰しも完成しない。
事実を知れば何を恐れる必要があろうか。
そして手をこまねく理由がどこにあろうか。
いけいけ、どんどん。
なになに、それそれ。
で、ある。
そんなこんなを華麗な手さばきで解く養老氏の理知的な筆運びは、
新しい風景を見せてもらえるN.riverの、
忘れがたい心のバイブルなのだ。


★擬似タイトル『死の壁』もまた
 解剖学が専門の養老氏ならでは
 死とはどのような状態なのか
 解剖学的に また社会的に
 双方から論理的とひも解かれていて
 いかに我々の認識があいまいなのかが
 我々が最後 迎えるそれが
 どういうものなのかが
 興味深く書かれていてオススメです
 もちろんホスピス関連では
 ありません